心の医療機関(病院と診療所) (「仙台経済界」2001年 3-4月号掲載)
- 斎藤 徹
- 2020年8月15日
- 読了時間: 2分
一般に病院と診療所は、その病床数によって分けられます。20床以上の医療機関が病院、19床以下が診療所です。いずれも入院治療が可能ですが、どちらかというと、病院では入院による集中治療が、診療所では外来での診療が中心となります。 精神科も同様です。ただしこの場合、入院か外来かの判断は単に病状の程度だけでなく、本人や家族の治療に対する理解にもかかわってきます。つまり、不安や焦燥が激しかったり、気力が失せて食事もとれない状態などのほか、本人の認識不足で治療を拒否したり、原因が家族にもある場合は入院を考えなくてはなりません。入院治療は、精神病院、総合病院、大学病院といった医療機関で行われます。 まず単科の専門医療機関として、精神病院があげられます。治療の必要上、行動の自由が制限されなければならない病棟があるものの、今はかつての収容所的イメージからかなり脱却しました。娯楽や作業の内容を充実させることにより、「社会復帰」を含めての広い範囲にわたる治療が主流になっています。 ところで、問題の中心が心にあるための入院であれば精神病院で十分ですが、なかには身体疾患が絡むことも少なくありません。突然の幻覚や妄想が、実は脳内にできた出血や腫瘍が原因であったり、抑うつ状態が甲状腺機能の異常から生じたりすることがあるからです。そうした場合、外科や内科などとの連携が必要となり、さまざまな診療科がそろっている総合病院が適当となるでしょう。 一方、大学病院は基本的に「教育・研究機関」として位置付けられています。学生の研修の場であり、最新の治療技術を開発する場でもあります。したがって、どうしても主たる対象は、比較的珍しいか、または治療の困難なケースなどになってしまいます。 もし、心の問題の程度が入院までもなく、本人や家族にも理解が得られるなら、精神科の診療所、いわゆるメンタルクリニックが便利です。看板には「内科」時には「診療内科」と書かれていても、専門の精神科医が診療に携わっているところも多いので、受付で確認するほうがいいでしょう。実際、ごく一般の内科診療所と変わらない雰囲気のため、気軽に受診でき、診療時間にも幅があることから、昼休みや仕事帰りに立ち寄ることができます。 最後に一言。病院でも診療所でも構いません。心の調子が変だと感じたら早めに専門医へ相談することが大切です。
「仙台経済界」2001年 3-4月号掲載
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